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主計ブログ

フリーゲーム『CardWirth』の自作シナリオを公開しています

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梅雨とオーガ


もやし    「あいつ・・・デカいな」
筋肉     「強そうだ」

冒険者たちは顔にたかる羽虫を手で追いながら気弱に呟いた。

視線の先には身長3メートルはあろうかという食人鬼の巨躯がある。
茂みに潜む冒険者に気付きもせずのんきに昼寝を決め込んではいるものの、
時おりピクリ、ピクリと周囲の気配に敏感に反応し生来の警戒心の高さをうかがわせる。

筋肉     「やっぱりやめとくか」
 老いぼれ  「・・・・」
 
オーガ退治の依頼を受けたのはいいが、
土壇場で踏ん切りのつかない冒険者たちは情けない顔を見合わせていた。
それでいて引き上げる決断もしかね、ぐずぐずとその場で時を浪費し続けている。

 


優等生    「・・・雨」

ふいに冒険者たちの上に雨粒が落ちてきた。
そしてそれがもやしたちを一挙に行動に踏み切らせた。

もやし    「やるなら今だな」
筋肉     「ああ」

冒険者たちは降りしきる雨音に紛れて忍び寄ると
思い切って無防備なオーガの背に刃を突き立てた。



オーガ   「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアッツ!?」


必殺を期した一撃は、しかし
オーガの厚く盛り上がった筋肉に阻まれ浅手に留まる。

筋肉     「畜生ッ!」
 老いぼれ  「もとより一撃で仕留められる相手ではない!4人がかりでやるぞ」

怒号と悲鳴が交錯し、泥と飛沫と血が飛び交った。
さらに数太刀浴びてもなお巨漢の食人鬼は揺らがない。
腸を震わせる絶叫とともに拳骨を振り回しては未熟な討ち手を怯えさせる。

筋肉     「こいつ、斬っても突いても全然こたえねぇぞ!」

狂乱のただなかにある筋肉の罵声が、逆に老いぼれを冷静にさせた。
雑魚ならばいざしらず、体力の塊のようなオーガ相手には強力な一撃で一挙に戦闘力を奪わねばだめだ。
そしてふと己の手札に「居合切り」の技のあることに今さらのように気付いた。
 
老いぼれ  「イヤーッ!」

裂帛の気合とともに繰り出された刃は
嘘のように容易に食人鬼の横腹を切り裂いた。

オーガ   「グ、グワーーーッ!!」

こぼれたはらわたを引きずるその足をもやしが斬り、
さらに崩れたところを筋肉が駆け寄ってすかさず止めを刺した。



もやし    「いやぁ俺たちもまんざらでもないな」
優等生    「立派なものですよ」
筋肉     「一人前の仕事さ」


芯まで染み入るような雨に打たれながらの帰路ではあったが、
首尾よく強敵を仕留めおおせた冒険者たちは興奮冷めやらず意気軒昂としていた。
 
老いぼれ  「ああ、そうだな」

仲間にそう応えつつ、命のやり取りのさなかで己が一抹の冷静さを保ち得たことに
老いぼれはひとり満足していた。

 

 

今回のシナリオはハーバーさんの「梅雨とオーガ」です。
タイトルは今一つピンとこなかったのですがいざプレイしてみると情景描写がとても丁寧かつ
印象としては必要最小限にして濃厚といった感じで、物凄く好みのタイプのシナリオでした。

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「逃げる」のリアリティ

 

実戦では不利になったら敵は逃げる。お前達も不利なら逃げる。
勝てない戦いで戦って死んでも無駄なだけだ。
それよりは撤退して次の戦いに備えろ…ってわけだな。幻獣もバカじゃないわけだ。
コンピュータゲームのように、全滅するまで戦う敵も味方も居ないわけだ。
ま、消化不良の感じがするが、これが現実だな。

高機動幻想ガンパレードマーチ ~本田節子教官の授業より

 

これは2000年頃に出たPSゲームの劇中に出てくる台詞ですが
事実、戦闘シーンでは敵も味方も全滅するまで戦うこともなく
形勢不利になればとっととケツを捲って早々に逃げを打ちます。

この機微が、ともすれば無味乾燥に陥りがちな戦闘システムに戦機と潮目を作り、
ひいては並々ならぬリアリティをプレイヤーに提供することに成功しているわけです。


ところでさすがというべきか、
カードワースの教本的なシナリオ「ゴブリンの洞窟」においても
臆病なコボルトが逃げるという形で敵方の逃亡を表現しています。

教本に載っているということはそれすなわち基本的テクニックということです。
よってこれを応用し、単に逃げるに留まらず決定的不利を悟った敵がどう出るのか、
ほんの小さじ一杯のリアリティを工夫すると、敵を倒しておしまいなサツバツとした
シナリオにも思わぬ味わいが出ます。たぶん出ると思う。出るんじゃないかな。

でも覚悟は(ry

 

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リプレイはこんなにスゴイ!

シナリオは作るのも大変だし感想もアレだし…
でもゲーム日記くらいなら書けるぞ、という諸氏に朗報。
リプレイは想像をはるかに超えてあなた自身とCW界隈の役に立つ!


①シナリオ作者が喜ぶ!

あなたのテキストはおそらくは作者の目に留まり
それらをひどく喜ばせるでしょう

②いつの間にか文章力がつく!

もし普段からのトレーニングがなければ、
彼はテキスト・パワーを容易にマスターしません。
リプレイは質量ともに最適なトレーニング素材として役立つことができます

③自然にシナリオの構造が理解できる!

シナリオを一度自分の中で咀嚼してリプレイとして再構成する過程で
導入・見せ場・オチがなんとなく見えてくるような錯覚を持ちます。
そしてそれらは、おそらくあなたの気のせいではありません。


 ・・・文章力? うーん文章力ってなんだ。
よくわからないが、とにかくリプレイはすごい!



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「剣術練達の士を求む」公開

短編シティーアドベンチャーシナリオです
マルチエンディングシステム搭載
口調分け非対応

「剣術の達者を1名募集する
 報酬金:銀貨5000枚」

それは、あからさまに怪しい依頼だった・・・



http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/dce03d44bff02d7d984784679b008867/1453018238


2016/1/17  ver 1.01

 口調分け実装 (男性・女性・子供・上品・一部粗野)

分岐・イベント追加

その他(戦闘バランス、台詞等の修正 )


ギルド投稿にあたり大幅に手直ししました

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短編シナリオ近日完成予定です!

いやー噂のカードワースNEXTすごいですね~

従来は長いイベント組んでるとどんどん右下にツリーが伸びて行って
隅っこに押し込められる感じだったのが、素直にツリーが下に続いて
くれるのでとても!快適です。

でも今までのエディタに体が慣れきってしまったので
なんか新しいというだけで不安なんですよねー
慣れちゃえばなんてことないんですけど。

というわけで!NEXに慣れる用の軽い短編シナを1本制作しております。
シティーアドベンチャーでマルチエンド。
短くはありますが小気味よい1本に仕上がりつつあるかなと。

あとは分岐先のイベントとエンディング仕上げて完成です。
すぐ仕上がると思いますのでご期待ください。それではご機嫌よう!







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