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主計ブログ

フリーゲーム『CardWirth』の自作シナリオを公開しています

カードワースプレイ日記 エピローグ





永遠亭のけだるい昼下がり。
カウンターにいる亭主は黙って皿を磨き
女給の娘はサボって鼻歌なぞ歌っている。

そう多くはないが昼間から酒を呷る冒険者崩れや
カード遊びに興じる連中もたむろしている。

宿の見慣れた日常の光景だ。

 

ただ、いつも決まってそこにいた連中・・・

長身の冒険者、白頭の老戦士、チンピラ風の盗賊に、場違いな子供。
暗い色のローブを被った陰気な魔法使いの姿はもう、ない。



娘   「最近、インテリさんたちの顔見ないわね」

亭主 「ん・・・そういえばそうだな。どこかでくたばったかな?」


厨房からぽつりと漏れた娘の言葉に相槌を打ち
宿の亭主はふと皿洗いの手を止めた。


確かに、もうかれこれ数年は連中の姿をみた記憶が無い。
どこかで果てたのでなければ、他所へ移っていったのだろう。

元来が風来坊とはいえ、いずれにせよ水臭い連中じゃないか。
そう胸中で呟くと亭主は我しらず酒場の隅の空いたテーブルに目をやった。


 

若い男  「ただいまー」

両開きの扉が遠慮なく開かれ、見知らぬ若い男が酒場に入ってきた。


亭主    「はて、誰だったかな」

若い男  「ひどいな親父さん。僕だよ」


皮鎧に小剣を下げ埃じみたマントという
冒険者お決まりのスタイルに身を固めた男は、
いかにも心外だ、という風に小さく肩をすくませた。
首に下げられた銀色の指輪が揺れる。


亭主    「・・・ひょっとして お前、小僧か!」


男の首に革ひもでくくられた銀色の指輪に、確かに見覚えがあった。
それを見て、ようやく亭主は彼がインテリ一行で小僧扱いされていた少年と
同一人物であることに気づいたのだ。



亭主はかって小僧であった男の口から、インテリ一行のその後の消息を聞いた。

オヤジは老齢から引退して郷里に帰り、剣術道場主に収まったそうだ。
CV古川は、盗賊ギルド幹部の娘を孕まして姿をくらまし、行方が知れず。
どこまでもマイペースな根暗は、死霊術の秘儀を求めて独り東方へ旅立ったらしい。
仲間をなくしたインテリは、それを潮に冒険者として一人立ちしたという。


若造 「・・・というわけで、みんな散りぢりさ」

亭主 「まぁ変わった連中だったからな。・・・それで、お前は何をやっているんだ?」


若造 「しばらくはオヤジさんの道場を手伝ってたんだけど
     人手は足りてるから他所へいけってさ。薄情だよね」


そう言って明るく笑う若者の表情に拗ねた様子や
かつての奴隷の暗い影は微塵もない。


亭主 「ふん、一人前の男なら自分の食い扶持くらい自分で稼げってことさ」

若造 「そう言うなら、何か仕事紹介してよ」


宿の亭主は、「そうだな・・・」と振り向いて壁の羊皮紙に目を向ける。

小僧に気づいた娘さんが歓声をあげて厨房から出てきた。

紫煙混じりの空気の不味ささえ、相も変わらずだ。



そうして、永遠亭の変わらぬ日常が再び幕を上げる。




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あとがき

  • 主計 
  • 2013/10/31(木) 23:45
  • edit

以前のブログと共にカードワースリプレイ日記が沈んでしまったので
一応、ケジメということで最終回を置かせて頂きました。
中途半端になってしまい、誠に申し訳ございません。
インテリ一行の冒険譚はこれにておしまいです。

前のブログもプレイ日記も知らないぞ、という方にしてみれば
ブログが始まったかと思ったらいきなり最終回!?という感じで
何がなんだかわからず不快かと思いますが、どうかご勘弁下さい。

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