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主計ブログ

フリーゲーム『CardWirth』の自作シナリオを公開しています

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思いすがるものども



もやし  「なんど退治してもゴブリンが戻ってるくる洞窟、ねぇ」

筋肉   「究明はそっちの学者先生に任せて、俺たちは退治役ってわけだな」

依頼人 「そういうことだ」


妖魔の求心力をもつ何かがあるらしい洞窟・・・
多少嫌な予感のするパターンだが、幸いにして原因究明は仕事のうちには入っていない。
いざというときはトンズラ決めても別に文句の出る筋合いではないだろう。

冒険者たちはそのように楽天的に考え、依頼を受けることにした。




 

優等生  「後ろからも敵が!」

もやし   「クソッ、挟み撃ちだと!?」


洞窟の妖魔の抵抗は、想像以上に激烈なものだった。

動揺につけこまれて陣形を組む間もなく乱戦になり、
振り下ろされる棍棒に何度か目の前が昏くなりながらも
最終的には体力差で紙一重の勝利をモノにしたのだった。


もやし  「くそっ!この野郎!この野郎っ!」
筋肉   「そいつもう死んでるぜ」




あらかたの妖魔を始末し終えてようやく周囲を落ち着いて観察する余裕を
取り戻した一行はさらに洞窟の深部へと足を踏み入れた。


老いぼれ 「この先、床がないぞ」


洞窟の最奥、あきれるほどの巨大な縦穴と
ゴブリンの祭器らしきものが侵入者たちを迎えた。


筋肉   「おおー・・・すげぇでかい穴だな。底が見えねぇ」

依頼人 「こっちには石板に石人形!うはっ、これは大した資料だ!」


はっきりとした原因は究明できなかったものの、
貴重な妖魔の資料を無傷で手に入れた依頼者は大いに満足を示した。

最終的に洞窟は発破で完全に土に埋められ、物理的威力をもって
この洞窟にまつわる懸念は払拭されたのだった。



 

「「「「「「 ドッカーン 」」」」」」」」


青空に殷々と轟く爆発音が、
冒険者たちの耳にやけに壮快に響いた。


仕事は終わり、その瞬間から真相究明は冒険者たちの雑談の種に成り下がる。


もやし   「結局なんだったんだろうな。妖魔が集まる原因とやらは」

優等生  「さぁ、学者先生が持ち帰った資料を研究して考えるんじゃないですか」

筋肉    「・・・・・」

優等生  「筋肉、なにか思いついたことでも?」

筋肉    「べつに」


筋肉は、ゴブリンどもは単にあの場所が気に入ってたんじゃないのか、と思ったが
それを言っても馬鹿にされるだけなので黙っていることにした。

 



 今回のシナリオはFulbrightさんの「思いすがるものども」です。
いやーもうちょっとで全滅するとこでした。さすがに4人は安定感なくてやばいですね。
シナリオは想像以上に完成度が高くてびっくりしました。短編ダンジョンものとしては
ほとんど理想的といっていいくらいだと思います。
無駄がなくてセンスの良さが際立つ導入部、音楽の使い方もバッチリ、洞窟探索の雰囲気も
ぬかりなく、謎部分も押しつけがましくならない程度に抑えて、後に小さな余韻を残す感じ。
いつかこういうシナリオが作れるようになりたい、というのが正直な実感ですね~



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