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主計ブログ

フリーゲーム『CardWirth』の自作シナリオを公開しています

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想像力の使い方

 

 
怪談好きでよく読んでます。
どんな怪談が一番いいかといえば簡単です「想像力」を刺激してくれる話です。

って、これだと明快なようでいて全然曖昧ですね。言い方を変えましょう。
恐怖をかきたてるだけかきたてておいて、ここぞという一番のクライマックスを書かない話です。

まだわかりづらいですね。
では具体的な例でいきましょう。
雨月物語の中の一篇で「吉備津の釜」という話です。

昔々のその昔。正太郎というやくざな男がおりまして、女房に酷いことをしたあげく死なせてしまいました。
怨霊と化した女房が夜な夜な正太郎の住む家を襲いますが、あらかじめ家中に貼られた陰陽の札の加護で
家の中までは入ることができません。正太郎が表から聞こえる怨霊の声に怯えながら息を殺しているうちに
しらじらと空が明るくなり夜が明けたことを告げます。もう安心と戸外に出ると…

隣家にいた某は、正太郎のものすごい悲鳴を聞きつけ慌てて表に飛び出しました。
すると明けたはずの夜は明けてはおらず、ただ地面を月光が煌々と照らしているばかりです。
戸外を見回しても誰の影も見えず脇の壁にべったりと血がついているだけで肉も骨の一片も見当たりません。
ただ、軒に髷だけが引っかかっていて風に吹かれておりました。

割と怖いですよね。
筆舌に尽くしがたいクライマックスをあえて書かずにその周囲をリアリティと説得力で固めて
白抜きで浮き上がった部分を読者が想像力で補填してくれるという構造になりますが
ざんばら髪の怨霊が正太郎を引き裂いて…なんてモロに描くよりはるかに有効です。
ここでは作者は読者の想像力を上手く使っていると言えるでしょう。


ここまでが前置きです。
能書き垂れましたが読み手の想像力を使うのはホラーに限らずごく一般的なテクニックらしいです。
そんなわけで、じゃあ当然カードワースシナリオでも応用可能だよねという話にはなってくるわけです。
ようやくカードワース雑談っぽくなってきました。ところで柚子さんの「砂を駆る風となれ」ってシナリオありますよね。
ものすごく良くできた長編で結構昔にリプレイで取り上げさせて頂いたことがあるんですが実はその時は二度目のプレイで
この長編をどう整理しようかなーと思いつつやってたんですね。全く褒められた態度ではありませんが。

で、その時気づいたんですが、クライマックスの妖魔とその娘が邂逅する場面。あの画面はずいぶんあっさり目なんです。
たしか岩のカード絵が出たり消えたりする感じで場を繋いでいたと記憶してますがASKデフォルト画像なんかも出てきたりで
決して画面の造りは豪華ではなく、正直「あれこんなだったかな」と思いました。前にプレイした時はもっと凄かった印象が
あったんですね。

その時は少し引っかかった程度だったんですが、後になってから読者の想像力を使うテクニックの変形だと気がつきました。
上記の怪談の例と異なる点は、なにもクライマックスそのものを空白にして読み手に委ねなくてもよいということです。
つまりそこに至る過程で持てるテクニックのなんやかんやを動員してプレイヤーをすっかり協力的姿勢にしてしまえば
案外簡素な演出でも十分にプレイヤー自身が想像力を働かせて補ってくれるので必ずしもクライマックスで更に今まで
以上の豪華な舞台装置を用意する必要はないと言えるのではないでしょうか。

二回目のプレイでこの作用がわたしに働かなかったのは、シナリオをリプレイ素材として見すぎて協力的なプレイヤーに
なり切れなかったというところに原因があったようです。批評目的の確認プレイなんかもまったく同様のどつぼにハマる
可能性も少なくありません。必要以上に構えて目をこらすことでかえってものが見えづらくなるというのはどうも皮肉な
話のように思います。

話が横道にそれましたがつまるところ想像力を味方につけたいと考えるならば大事なのはクライマックスそのものよりも
むしろそれに至る過程でいかにプレイヤーに「想像力使ってもいいかな」と思わせるかに腐心すべきかということであって、
当然あらゆる部分が空白だらけのスカスカのシナリオでさぁプレイヤーの諸君想像力を存分に使って埋めてくれたまえと
言ってもそうは問屋がおろしませんので順当に考えて持てるテクニックの全てを駆使してプレイヤーの関心をひき期待感を
大いに煽る工夫が不可欠かと思われます。言ってしまえば当たり前のことではありますが。

さらに乱暴に一行に要約するなら
全力でプレイヤーの心を引きつけろ、最後の最後はちょっと力抜いてもなんとかなる。むしろなんとかしてくれる。
こんなとこでしょうか。

なおこのテクニックを当然わたしは使えません。
わかってりゃ出来るってんなら苦労はないですよ。ええ。

元気があって前向きで真面目で何ごとにも一生懸命だけどちょっとどこか隙のある人がモテる!
と知ったところでどうなんだということで、つまりその・・・


 

ごめんなさい。

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