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主計ブログ

フリーゲーム『CardWirth』の自作シナリオを公開しています

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蛮族と文明国


朝鮮に古画が残っている。
いつの時代の中国の都なのか、ともかく宮殿の描写がなされており、そこで中国皇帝が外蕃の使臣を謁見している。
この絵の筆者の国である朝鮮からの使臣もむろんうやうやしく座を占めている。外蕃の使臣たちはことごとく儒礼にかない、
衣冠を正しくして所定の座にいるのだが、一人だけ素裸のフンドシ一本で大あぐらをかいているのがいる。
それが倭だ、というのだが、私はこの話をソウルの学者から聞いたとき、腹が痛くなるほど笑った。

街道をゆく2 新羅の旅


もちろんご先祖が本当にフンドシ一本で中国の皇帝に会いに行ったというわけでは当然なくて
当時の儒教文明国の優等生からは我々はこう見えたという一種のデフォルメなんであるけども
この与太話の情景はえもいわれぬおかしみがあってたまらない。

かつての東アジアでは儒教の礼節を身に着けてこそ人間であるという文明尺度があったので
それにてらせば華夷秩序も儒礼のなんたるかも知らない倭人は確かに蛮族そのものであったろう。
ただ現代から振り返って中世を見ると蛮性をたっぷり残した人々の闊達さにこそ面白味を感じるし、
ときにインド、ときに中国、西洋と、外国の文明に憧れはするけれども骨の髄までそれに染まろうという
殊勝な気はさらさらなく、上っ面だけ借りては古着を脱ぎ捨てるようにして捨て去って恥じ入るところのない
堂々たる蛮族っぷりに一種の痛快を覚えるのである。


余談が過ぎた。(司馬遼太郎風)

カードワースもまた中世をモチーフとしているので、聖北教文明圏とその他の蛮族という構図は当然ある。
あまりその機会もないだろうが、もしこの両者に焦点を合わせたシナリオがあるとしたら、簡単にわかり合い
互いに理解し合うというような尋常の交流を見たいとは思わない。やはりそこは文明の何たるかも知らぬ
蛮族への徹底した軽蔑と憎悪で貫かれていて欲しいと思うし、もっと言えば人間扱いすら不要であると思う。

「城塞都市キーレ」で冒険者たちが蛮族英雄との戦闘に入る直前に刹那の魂の交感が描かれていたが、
それも互いに人間扱いしないというディスコミュニケーションのさなかだからこそ、
非常な光彩を放っていたように思うのだ。


 

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